公募増資はタイミングが重要

企業が順調に成長して国内外の証券取引所に上場した場合、その後に事業資金をどのようにして調達するかは経営者にとっての腕の見せ所です。せっかく上場しているのだから、公募増資を行えばいくらでも資金を調達できるのではないかと考えるのは早計であり、タイミングを誤ると既存の株主の権利を希薄化させてしまいかえって会社の価値を損なうことになりかねません。そのため、公募増資は、資金の調達ニーズが企業の成長シナリオに必要不可欠であることを合理的に示し、そのことについて市場の支持が得られることを確認した上で初めて行うべきです。それが難しいと言うことであれば、株主の利益を守るためにも他の資金調達手段を検討した方が良いでしょう。

公募増資以外の資金の調達手段とは

公募増資を行うことがタイミングとして適切でない場合には、それ以外の資金調達手段を検討する必要があります。ここで取り得る選択肢としては、金融機関からの借入と社債の発行というのが代表的なものとなります。いずれも金利を負担して債務を負うという点では同様ですが前者は金融機関との相対取引であるのに対し、後者は債券市場を通じて不特定多数の投資家から資金を募ると言う点が異なります。もっとも、いずれの場合にも、有利な条件で資金を調達するためには企業が高い信用力を有していることが不可欠です。そのため、仮に業績が芳しくないような場合には、ある程度のコストをかけて借入を行うというのが現実的な資金調達方法となるでしょう。